水道管路の耐震設計-一体構造管路(レベル1・2-鋼管・ポリエチレン管 レベル1-接着接合塩化ビニル管)の計算

  一体構造管路の計算では、設計内圧、自動車荷重、温度変化、不同沈下および地震力によって生じる管体歪みに対して、安全な管種を選択することができます。
  鋼管の軸方向歪みの計算については、『水道施設耐震工法指針・解説1997年版』では計算の簡便化を考慮して、レベル2地震動では直線管路全体が常に滑ると仮定して計算を実施していました。しかし、もし全面的に滑りが発生しなかった場合には、『1997年版』の計算で求めた管歪みより大きな管歪みが実際には発生してしまい、管歪みは厳密評価より過少評価することになります。そのため、『水道施設耐震工法指針・解説2009年版』では、管路と地盤の滑りによる発生歪みの低減効果を合理的かつ定量的に評価するために、レベル2地震動において滑り低減係数qを導入し、計算した値が厳密評価より過少評価にならないようにしています。本計算では、『1997年版』、『2009年版』の両指針の管と地盤の滑りに対する考え方を選択することが可能です。
  鋼管・ポリエチレン管の計算では、応答変位法による耐震計算の他に、地割れや液状化等の大きな地盤変状に対する耐震計算が可能です。
  管路方向の地盤の不均一性による地盤歪みの増幅や地盤の3次元的挙動による管体歪みの増加を考慮することができます。

 

 管体仕様

      

・ 鋼管の計算では、管の種類、呼び厚さおよび呼び径を指定することにより、予め登録された設計に必要な管の外径、管
   厚、弾性係数、ポアソン比、線膨張係数、降伏歪みを自動的に設定することが可能。
・ ポリエチレン管の計算では、管の規格、種類および呼び径を指定することにより、鋼管同様に設計に必要な管の外径、管
   厚、弾性係数、ポアソン比、線膨張係数、降伏歪み、許容歪みを自動的に設定することが可能。
・ 塩化ビニル管の計算では、管の規格、種類および呼び径を指定することにより、設計に必要な外径、管厚、弾性係数、ポ
   アソン比、線膨張係数、許容歪みを自動的に設定することが可能。
 

 地盤条件

   

・ 表層地盤および基盤層の剪断弾性波速度をN値より計算する場合は、計算に用いる対象剪断歪を「10-3」、「10-4」、
   「10-6」から選択することが可能。
・ 表層地盤および基盤層の剪断弾性波速度をPS検層等で測定された実測値での入力も可能。
・ 各層の平均N値はN値分布データより自動的に加重平均した値を用いることが可能。また、直接各層の平均N値を入力す
   ることも可能。

 

 常時荷重条件

   

・ 常時荷重として、「内圧」、「自動車荷重」、「温度変化」、「温度変化」、「不同沈下」の設定が可能。
・ 管に作用する自動車荷重は、T荷重種類を指定することにより、あらかじめ登録されたT荷重に対する後輪荷重、車両設
   置幅、分布角を自動的に設定したり、任意に設定することが可能。
・ 自動車荷重に考慮する衝撃係数を、道路土工カルバート工指針に従い土被りより自動的に設定したり、任意に設定する
   ことが可能。
・ ポリエチレン管の内圧および温度変化による軸方向歪みの算定は、計算より求める方法の他に、実験結果から求めた値
   を直接用いることも可能。
・ 軟弱地盤区間における不同沈下の影響を、軟弱地盤区間長(盛土区間長)と盛土高さを入力することにより算出が可能。

 

 地震時条件

      

・ 鋼管およびポリエチレン管は、レベル1地震動およびレベル2地震動それぞれで管体歪みの照査が可能。
・ 鋼管およびポリエチレン管は、レベル1地震動およびレベル2地震動の管体歪みの照査を一括で行うことが可能。
・ 接着接合塩化ビニル管は、レベル1地震動の管体歪みの照査のみ可能。
・ レベル1地震動の基盤面における基準水平震度を任意に設定することが可能。
・ レベル1地震動に用いる地域補正係数を『水道施設耐震工法指針・解説』の『2009年版』または『1997年版』から選択す
   ることが可能。
・ 鋼管およびポリエチレン管は、地盤変状に対する照査として、護岸近傍における地盤の側方変位と傾斜地における地盤
   の側方変位に対する照査が可能。液状化した地盤の最大摩擦力と地盤変状範囲を入力することで計算する場合(『水道
   施設耐震工法指針・解説1997年版』対応)と、滑り開始限界せん断応力と地盤変状範囲を入力することで計算する場合(
   『水道施設耐震工法指針・解説2009年版』鋼管対応)、または側方流動等による地盤の歪みと地盤変状範囲を入力する
   ことで計算する場合(『水道施設耐震工法指針・解説2009年版』ポリエチレン管対応)とが選択することが可能。

               

・ 表層地盤の固有周期、速度応答スペクトルのSv等を直接入力することが可能なため、『水道施設耐震工法指針・解説
   2009年版』の設計地震動設定方法に対応した指定が可能。同様に、地盤の動的解析等で得られた結果を計算に反映す
   ることが可能。
・ レベル2地震動の鋼管軸方向歪みの計算は、従来からの「管路全体が常に滑る」方法(『水道施設耐震工法指針・解説
   1997年版』対応)に加え、管路と地盤の滑りによる低減効果をより合理的・定量的に評価できる「滑り低減係数を考慮す
   る」方法(『水道施設耐震工法指針・解説2009年版』対応)による選択も可能。
・ レベル2地震動のポリエチレン管軸方向歪みの計算は、管と地盤が滑らないものとして実施。
・ 管路方向の地盤の不均一性による地盤歪みの増幅を考慮することが可能(『水道施設耐震工法指針・解説2009年版』対
  応)
・ 地盤の3次元的挙動による管体歪みの増加を考慮することが可能(重畳係数)。
・ 地盤変位の伝達係数α1、α2を計算で求める方法の他、地盤と同じ挙動をするとして「1.0」で計算することが可能。
・ 地盤の剛性係数を求めるために用いる係数C1、C2を、表層厚さと管径から計算で求める方法と、任意に設定する方法を
  選択することが可能。
・ 地盤の剛性係数を求めるために用いる単位体積重量および剪断弾性波速度を「表層の各層の値を加重平均値した値」、
   「管が埋設されている層の値」から選択することが可能。
・ 鋼管のレベル1地震動の軸方向歪みの照査に用いる許容値を、「23t/D」または「降伏点歪み以下」から選択することが
   可能。

 

 結果出力

    

・ 計算結果を画面により確認可能。
・ 計算結果を、報告書形式で出力することが可能で、Microsoft Office Wordへの出力も他のCivil Softシリーズと同様にサ
   ポート。

 

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